まさに名作。とても面白かったし、読後も心地良かったです。
さすが、小説の名手・山本周五郎!
師も教えを受けようとする若者も素敵です。
道を極めるということの本質がみえる作品
恥ずかしながら読む前は忠臣蔵の大石内蔵助の話と思っていた。これは宮本武蔵の話に似てるな。
中学二年の時に読んで以来の再読である。山本周五郎が言わんとすることは当時分かったけれども納得はできなかった。中学二年には早すぎる作品。国語の授業で読む作品ではない。国語というよりは道徳の授業になってしまったような気がする。年齢を重ねて読むと、人が人であるためにはどうあるべきか、人としての本当の生き方とは何か、という問いかけが押しつけがましくなく迫ってくる作品。ただもしかしたら昭和15年(正しくは1940年、1949年では昭和24年となる)という執筆時期から考えて軍人批判も意図したのかもしれない。こういう読みも成立するように思われる。山本周五郎は中学国語の授業で扱ってはいけない、ということを実感した。