饒舌りすぎる
しゃべりすぎる
初出:「オール読物」文藝春秋新社、1962(昭和37)年2月分量:約72分
書き出し:一奉行職《ぶぎょうしょく》記録所《きろくじょ》の役部屋へ、小野|十太夫《じゅうだゆう》がはいって来る。彼は汗になった稽古着《けいこぎ》のままで、ときには竹刀《しない》を持ったままのこともある。「おい土田」と十太夫はどなる、「今日は帰りに一杯やろう、枡平《ますへい》へいこう、いいな」それから四半|刻《とき》もするとまたやって来る。やっぱり稽古着のままで、額に汗が光っている。「枡平はよそう、土田」と十...