「枡落し」の感想
枡落し
ますおとし

山本周五郎

分量:約87
書き出し:一——ねえ、死にましょうよ、とおうめが思いつめたように云った。二人でいっしょに死にましょうよ、ねえ、おっ母さん。表通りから笛や鉦《かね》や太鼓の、賑《にぎ》やかな祭囃《まつりばや》しが聞えてきた。下谷御徒町《したやおかちまち》の裏にいたときで、秋祭の始まった晩のことだった。——あたし独りで死ぬのは怖いの、ねえ、おっ母さんもいっしょに死んで。あのお囃しは備前《びぜん》さまのお屋敷の、こっちの角にある...