藩の未来のため、友情のため・・という美しい理由を並べても、苦しさから逃げるエゴのように思える。また、松子の気持ちに言及する場面はなく、女の地位の低さに憤りすら感じる。
友情とは生きる力、感じる
侍という生き方がある。
武士道、潔さ、美しさみたいなものは同じ日本人として感じ取れる。 しかしながら江戸時代と令和の現代人では人間が変質しすぎていてとても真似できるものではない。 いかに大切な友人とはいえ、愛する人を譲ってしまう心。 いかに大切な友人とはいえ、その代わりに決闘をして自害してしまう心。 令和で21世紀の汚れた日本人はこう思う。 女を譲ることが正しいのか?その結果代わりに果し合いをしてさっさと死んじまうことが正しいのか、それが美しいのか?と。 ジャイアンみたいなバカ息子と戦って死ぬくらいならなぜ上司に訴えない、絶対権力者の江戸の殿様になぜ手紙を書かない。 頭を使えよ、と。 これを読んでストンと全て腑に落ちるのは昭和の時代までかな。 私は65歳だけどもう昭和の心は持ってないと感じる。
67歳男性。小説を読んで目が潤んだのは何年ぶりか。男なら理解できるというよりも感じてしまう。ラストは五感の全てに突き刺さり、心地好い。
とてもいいお話でありました。周五郎作品が大好きです。江戸時代は、日本の一番いい時かなぁ。。