真心が伝わる、心癒される
それなりに昔の人間だから気持ちはわからんでもない。 ただやはり21世紀の空気の中で読むにはいささか古い。 作者の小説に出てくる女性は奔放型と貞女型があるように思うがこれは後者。 昭和20年頃の空気では女は影のごとく男に沿うもの、かくあるべしということで共感が得られたものと思う。 しかし今となっては「ハッキリいえばいいじゃん」の一言で片付けられてしまう。 たった一言の嘘で知りもしない男の妻になり、男が死んだらその家に入る。 男の母にいったいなんの負い目があるというのか、あんたは元から自由の身じゃないか。 そう、もう今の日本人は昔の日本人とはまるで違うのだ。