一つ一つの展開は、ハラハラドキドキ読み進んでしまうし、引き込まれていく。感じです。今の生活に感謝の気持ちになる。
あ
なんだろう。読み進めれば進めるほど気持ちが荒んでしまった。これら全てがノンフィクションとは。こんな無秩序がまかり通るとは...。が、最後の話で溜飲が下がった。私もたんば老に相談に乗ってもらいたい...。ということは、私もこの街の住人と同じ穴の貉なのかもしれない。
貧しいだけではない、倫理観や道徳といったもの等、「季節のない街」の住人には、どこか欠落したところがある。他人を妬んだり、見栄を張ったりするが、露骨で、バレバレで、取りつくろったりするのも下手くそ。それでもたくましく生きていく住人達に、こうはなりたくないなと思いつつも、どこか共感しホッコリしました。隣人に無関心になっている昨今でも、いろいろな家庭問題を抱えている人たちはいるのだろうと感じました。
黒澤明監督作品『どですかでん』の原作としても有名な小説だ。 山本の小説に登場する人物は、辛酸を嘗め尽くし、志半ばで力尽きてしまうものが少なくないが、それでもその惨めさや愚かさを愛する作者の優しき眼差しが、作品に体温を与えている。 この小説の登場人物たちは、いわゆる被差別部落の匂いがするが、外からの上流階級からの上から目線など屁とも思わず、逞しく生きている。 知恵遅れの少年や近親相姦や夫婦交換など、ともすればお下劣になりそうな題材も本作にはあるが、山本の筆には迷いがなく(執筆中の苦闘は表には出ない)、暗鬱になりそうな展開でもどこかユーモラスで軽妙さがあり、高質な作品になっている。 一話一話は独立したものとなっているが、同じ部落に住み、貧乏と生活の苦しみの中で日々を営む人間達のそれぞれの姿は、外世界の季節とは縁がなくとも、人間の尊厳とは何かという命題を読者に突き付ける強さがある。