「孤島の鬼」の感想
孤島の鬼
ことうのおに
初出:「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号

江戸川乱歩

分量:約478
書き出し:はしがき私はまだ三十にもならぬに、濃い髪の毛が、一本も残らず真白《まっしろ》になっている。この様《よう》な不思議な人間が外《ほか》にあろうか。嘗《かつ》て白頭宰相《はくとうさいしょう》と云《い》われた人にも劣らぬ見事な綿帽子が、若い私の頭上にかぶさっているのだ。私の身の上を知らぬ人は、私に会うと第一に私の頭に不審の目を向ける。無遠慮な人は、挨拶《あいさつ》がすむかすまぬに、先《ま》ず私の白頭につい...
更新日: 2023/10/19
c44c1060e0a7さんの感想

恋から始まり謎の死、そして孤島における救出劇と宝探し、最後には家系についての歴史的大河。 ひとつの物語にこんなにも要素が盛り込まれ、全てが繋がっていて充実した読書体験でした。

更新日: 2023/06/03
a76139ccfca4さんの感想

諸戸道雄の愛、最初はコワッて思ってたけど一途すぎて可哀想になってしまった。箕浦くん最後くらい会ってほしかった

更新日: 2022/05/28
b98fc3c48f65さんの感想

昔から好きな作品です。久しぶりに読みました。いつの間にか変わってしまった風潮に自分も変化したのか、主人公の容姿に対する自惚れ、他者に対する自己中心的な評価がやや鼻につきました。 乱歩のコンプレックスを自在に爆発させた描写が満載です。

更新日: 2021/05/05
b53e79cfe52cさんの感想

読み終えてふーっと息をつく程の良く練られた構想だ。その他に終戦直後までいた「せむし」等不具者がこの作品に言外の重みを与えている。他に「同性愛」「純愛」が散りばめられた壮大な探偵小説に仕上がっている。

更新日: 2021/05/02
よしふみさんの感想

涙が出た。ひどく泪が出た。 何故だろう? それは、「人生で掛け替えのないものを失う辛さ」について、小説の最後の最後で感じ取ったからであろう。 「主人公に恋する、同性の片想いの友達である道雄。」 残念ながら彼は、小説の最後で亡くなってしまう。 彼の生い立ちや、彼の苦悩、そして彼と主人公が共に小説の中で歩んだ「艱難辛苦」については、同情や共感の念は多々ある。 されど、それ以上に私を感涙させたのは、、、「人生で掛け替えのないものを失う」ことへの悲痛感である。 小説とは不思議なもので、知らず知らずのうちに読み進めていくと、読者である私自身が「主人公」となっていく。 そして、知らず知らずのうちに、道雄は、私自身の「掛け替えのない友」となっていく。 そんな「道雄」の過去を知れば知るほど、「私達」の相互理解は深まり、そんな「道雄」とともに、小説の中での艱難辛苦を経験して乗り越えれば乗り越えるほど、「私達」の絆は強固となり、「人生で掛け替えのないもの」となっていく。 「そうなのです。」 読者である私自身にとって、小説の中の道雄は、「人生で掛け替えのない友」となっていたのです。 その道雄を、小説の最後で失う喪失感。 そして道雄が最後の最後まで主人公=読者である私を想って死んでいく姿に、、私はこの上もない「喪失感」を感じてしまいました。 小説の中での苦労は、尋常なものではありませんでした。 それを主人公と道雄は2人して、2人で居たからこそ「乗り越えられた」のです。 人は、「掛け替えのない相手」に対しては、自分の幸せを願うのと同じように、その相手の幸せをも願うものではないでしょうか??? 私にとって、道雄は掛け替えのない友であり、その道雄の幸せを願う気持ちは私の中でとても大きかったのです。 それはまさに、読み進めていくことで「癒合」した、「心と心との双生児」とも言うべきものだったのかもしれません。 「道雄君、いつまでも君は僕にとって掛け替えのない人だよ。ありがとう」 fin

更新日: 2021/01/13
まるまるさんの感想

夢中になって読みました。とても一言では言い表すことができない読後感… あまりに壮絶な内容で、読み終わって私も頭髪が真っ白になった気分です。 初代さんの思い出とともに秀ちゃんと木崎さんと幸せに暮らしてください。

更新日: 2020/11/21
ab25837fff82さんの感想

ページをめくる手が止まらず、ドキドキハラハラしながら読みました。最後の一文が本当に切ない…。