若い頃は不思議と何でも出来るような、何にでもなれるような感覚が中島先生にもあったということで、ぐっと親近感が湧きました。 仏蘭西に対しての憧れは十年経っても変わらない…… 変わらないものの、未だ仏蘭西へ行けない…… 読んでいて少し切なくなりましたが、やはり最後には仏蘭西への憧れや想いが心を満たしてくれる、そんな気がしました。
文豪 中島敦氏の青春時代の夢は 仏蘭西行だったとは 意外である。 文体▫作風から 漠然と 中国かぶれかなと 思い込んでいた。 あれだけの 独自性を作り上げたことは 称賛に価すると思った。
中島敦の十年は、中島敦自身がかつてフランスにあこがれ行きたかったことを書いたエッセイ。
フランス、仏蘭西、ふらんす。少年には文字に起こしても舌にのせても甘美な響きがあったのでしょう。少年の日の夢と大人になってからの現実の差に胸が痛みます。この痛みを通過することこそが「大人になる」ってことなのでしょうか。
フランスに結局行けたのかしら? ふらんす、確かに響きがお洒落。 カルチェラタンという響きがまた芸術的に思われる。 学生の頃は原宿表参道をカルチェラタンに見立てて歩いたものだ。 蔦の絡まる古びたアパートメントを見つけると、住んでみたくなった。 仏蘭西に憧れる気持ち、やむを得ない。しかし、中島敦とフランスは勝手なイメージ的には結びつかない。 勝手なイメージは中国あたりか?
前半の 大金持ちになろうかな?総理大臣になろうかな? という大きな理想からの、後半背広も帽子もケチってしまう現実との対比がリアルで面白かった。
若いときってのは自分の器の大きさが分からないもんだよね。