垣内の話
かいとのはなし
初出:「民間伝承十二卷八・九號」1948(昭和23)年9月分量:約18分
書き出し:一垣内(カイト)は思いのほかこみ入った問題であった。最初からもしこれがわかっていたら、あるいはまだしばらくは手を着けずにいたかもしれない。私たちが興味を持ち始めた動機は、(一)垣内が日本のかなり弘い区域にわたって、分布している事実または少なくともその痕跡《こんせき》であるにもかかわらず、これに気づいている人はまだ少なく、今までに発表せられた二三の研究、たとえば小川、中山、野村氏等のそれは、ただある...