「榎物語」の感想
榎物語
えのきものがたり
初出:「中央公論」1931(昭和6)年5月

永井荷風

分量:約30
書き出し:市外|荏原郡《えばらごおり》世田《せた》ヶ|谷《や》町《まち》に満行寺《まんぎょうじ》という小さな寺がある。その寺に、今から三、四代前とやらの住職が寂滅《じゃくめつ》の際に、わしが死んでも五十年たった後《のち》でなくては、この文庫は開けてはならない、と遺言《ゆいごん》したとか言伝えられた堅固な姫路革《ひめじがわ》の篋《はこ》があった。大正某年の某月が丁度その五十年になったので、その時の住持《じゅう...
更新日: 2019/10/24
19双之川喜41さんの感想

 榎 のほこらを  大金の 隠し場所とした  遺言 仕立ての 話である。 駆け落ち者の  落とした 路金を  くすねたことから 次々と 人を 殺めた 偽坊主の 述懐であるけど 筋に追われて 詩味には 欠けるようにも感じた。

更新日: 2018/05/02
くろあしまるさんの感想

現金の遺失物横領をきっかけに、思いも寄らぬ人生を歩んでしまった小さな寺の住職。泡銭は欲望の黒煙を噴き上げる燃料にしかならないのか。 懺悔せずには居られないほどのビビッドな坊さん人生だが、ある確率でそれは誰にでも起きてしまう。 やっかいだが、それも愛おしい自分の生きた証。