永井荷風
榎 のほこらを 大金の 隠し場所とした 遺言 仕立ての 話である。 駆け落ち者の 落とした 路金を くすねたことから 次々と 人を 殺めた 偽坊主の 述懐であるけど 筋に追われて 詩味には 欠けるようにも感じた。
現金の遺失物横領をきっかけに、思いも寄らぬ人生を歩んでしまった小さな寺の住職。泡銭は欲望の黒煙を噴き上げる燃料にしかならないのか。 懺悔せずには居られないほどのビビッドな坊さん人生だが、ある確率でそれは誰にでも起きてしまう。 やっかいだが、それも愛おしい自分の生きた証。