日本の文明
にほんのぶんめい
初出:「教育時論 第七百八拾貳號」開發社、1907(明治40)年1月5日分量:約19分
書き出し:〔日本と東西両洋の文明〕従来、我が日本国には立派な哲学者が無かった。しかし外国から伝わった哲学書などは有ったが、一般国民はこの思想に触れずして、この日本という孤島の楽土に逸居し、世界の生存競争の衝《しょう》に立たず、静かに太平を楽しんでおったからして、深遠なる人生観、世界観が出来なかったのである。然《しか》るに東西両洋文明の接触は、我が日本をしてこの楽土に桃源の夢を続けしめずして、非常なる大変化を...