「雨瀟瀟」の感想
雨瀟瀟
あめしょうしょう
初出:雨瀟瀟「新小説」1921(大正10)年3月

永井荷風

分量:約63
書き出し:その年の二百十日はたしか涼しい月夜であった。つづいて二百二十日の厄日《やくび》もまたそれとは殆《ほとん》ど気もつかぬばかり、いつに変らぬ残暑の西日に蜩《ひぐらし》の声のみあわただしく夜になった。夜になってからはさすが厄日の申訳《もうしわけ》らしく降り出す雨の音を聞きつけたもののしかし風は芭蕉《ばしょう》も破らず紫苑《しおん》をも鶏頭《けいとう》をも倒しはしなかった——わたしはその年の日記を繰り開い...
更新日: 2020/11/01
19双之川喜41さんの感想

 荷風は 10年前に 妻の 愚鈍に呆れて別れ 7年前 妾の悋気深きに 辟易して手を切ったと  意気軒昂である。 とはいえ  雨が 寂しげに 降る時などは  物思うこと頻りである。 詩興が わき起これば 孤独の生涯も  更に 寂寥を求めるという。