一顆の栗一顆の小なし
いっかのくりいっかのこなし
初出:「イーハトーヴォ 創刊号」宮沢賢治の会、1939(昭和14)年11月21日分量:約1分
書き出し:花巻・盛岡を巡つて帰つて、私は一顆の栗一顆の小なしを茶の間の卓上に置いてをいた。一顆の栗と一顆の小なしはそのまゝに、幾日かそのまゝに置かれてあつた。さうした幾日かの後、それら一顆の物は二つとも箪笥の上にあつた。また幾日かして、小なしのはうは黍団子のやうに大事に、隆チヤンとタカチヤンに半分づゝやつてしまつた。(クラムポンはわらつたよ。)私は斯う言ふのである。栗のはうは箪笥のなかに、さうして(クラムポ...