「風貌」の感想
風貌
ふうぼう

――太宰治のこと

――だざいおさむのこと初出:「風雪 第四巻第七号」六興出版社、1950(昭和25)年7月1日

小山清

分量:約39
書き出し:——私はたいていうなだれて、自分の足もとばかり見て歩いていた。けれども自分の耳にひそひそと宿命とでもいうべきものを囁かれる事が実にしばしばあったのである。私はそれを信じた。私の発見というのは、そのように、理由も形も何も無い、ひどく主観的なものなのである。誰がどうしたとか、どなたが何とおっしゃったとか、私はそれには、ほとんど何もこだわるところが無かったのである。それは当然の事で、私などには、それにこ...
更新日: 2019/06/19
taroさんさんの感想

太宰治の弟子による回顧録。新聞の消息欄に太宰治の所在が載っていて、ふと思い立って三鷹に行って太宰治に初めて会うなどなんだか時代を感じさせるエピソードの数々が面白い。冒頭は太宰治の作品からの引用だが、初めて小山清が太宰治に自分の作品を見せたとき、冒頭で引用していたアンデルセンの文をちらりと見て太宰治が良いねと言った話に合わせてるのかなと思った。