浮世絵の鑑賞
うきよえのかんしょう
初出:「中央公論 第二十九年第一號」1914(大正3)年1月分量:約22分
書き出し:一我邦《わがくに》現代における西洋文明模倣の状況を窺《うかが》ひ見るに、都市の改築を始めとして家屋|什器《じゅうき》庭園衣服に到るまで時代の趣味一般の趨勢に徴《ちょう》して、転《うた》た余をして日本文華の末路を悲しましむるものあり。余かつて仏国《ふつこく》より帰来《かえりきた》りし頃、たまたま芝霊廟《しばれいびょう》の門前に立てる明治政庁初期の官吏|某《ぼう》の銅像の制作を見るや、その制作者は何が...