「食魔に贈る」の感想
食魔に贈る
ぐるめにおくる
初出:「中央公論」1932(昭和7)年3月号

岡本かの子

分量:約26
書き出し:Larue《ラルュウ》巴里の雑踏はそこから始まるという大並木路《グランヴウルヴァール》マデレンの辻の角に名料理店、ラルュウがある。店をイルミネーションで飾るでもなし、英字新聞の大陸版へ広告を出すでもなし、表の構えは普通に塗った木目の板で囲い、ただ内側だけ気持よくこしらえてしとやかに客を待つといった風だ。もし春の夕闇に鶉《うずら》の下蒸しの匂いが廚房《キュイジイス》から匂って出なかったら通りがかりの...
更新日: 2024/04/11
19双之川喜41さんの感想

 エスカルゴは  その形から 見立てると パリ市街の 公衆トイレの 愛称でもある。食せずに 敬遠する 向きも 少なからず いるけど 私は ワインを 嗜まないのに どういうわけか エスカルゴ好きである。あの 犀是利矢の 企業努力により 本場の 半額以下で 食べることができると 言われている。著者 かの子は 味について この 小動物を 軽蔑しない 可愛ゆい 比喩が 浮かんだとする。いわく 畑の 栄螺(さざえ)である。言い得て妙と 感じた。昆虫食の はしりとも 言えると 愚考してしまった。