「北越雪譜」の感想
北越雪譜
ほくえつせっぷ

03 北越雪譜初編

03 ほくえつせっぷしょへん初出:北越雪譜叙「北越雪譜 初編」文渓堂、1836(天保7)年

鈴木牧之

分量:約511
書き出し:第三刷序文岩波文庫に収めた北越雪譜は不図《はからず》も読書子の称賛を得て、昨年三月には第二刷を発行し、茲《ここ》にまた第三刷を発行するに至つたのは校訂子の欣喜に堪へないところである。第二刷のときも、註解に若干の増補を為したが、今回は本書の完璧を期する為めに、書中の挿画全部を天保の初版によつてやり直した、雪譜初版刊行の年月に就ては、判然としない点がある、岩波文庫版の解説には、初篇の一を天保六年とした...
更新日: 2024/04/17
19双之川喜41さんの感想

 九右エ門(きゅうえもん)という 農夫(のうふ)が 実際(じっさい)に 体験(たいけん)した 信じられないような 荒唐無稽な 奇想天外ともいえる 実話である。真冬に 薪を 採りに 山奥を 目指したところ 橇(そり)とともに 谷底に 転落してしまう。たまたま ホコラを 見つけ 寒さを 防ぐために そこに 潜り込む。ところが 実は その穴は 熊穴で 冬眠中の 熊の 冬の 窩(すみか)であり 突然の 人間の 乱入に 熊たるもの 慌てず 騒がず 乱闘 組み打ちにも 至らず 熊は むしろ 寝床に 男を 招き入れ 温くもりを 提供してくれる。それだけに とどまらず 越冬に 備えて 夏の間に 手に 塗り付けて置いた いわゆる 世上良く知られた 熊の手の 蜂蜜まで さしだして 男の 飢えを 凌がせてくれた。さらに 熊は 深い 雪中を ラッセルルして 男を 脱出道に みちびいた。九右エ門は 八十二歳の頃 所望する人々に この 体験を もったいぶって 話して 聞かせ 振るまい酒に しばしば ありついたという。漫画に したら 大ヒットするかもしれないと 想った。蜂蜜の 副作用(ふくさよう)のため 熊君は 自分が 飼い犬か 熊か 分からなくなったのかもしれない。   

更新日: 2019/10/30
19双之川喜41さんの感想

 牧之の下絵を もとにした挿し絵も とても楽しい。雪下に 熊の 冬眠のための穴が あるところには  必ず  上部の雪面に 細い穴が  息抜き管のようにある 。漁師は  その 細穴から  熊が 下に 潜んでいることを  知ると言う。 後ろからでも  読めるので  気楽に 楽しめるかもしれない。