「現代の文脈」の感想
現代の文脈
げんだいのぶんみゃく

島村抱月

分量:約3
書き出し:日本の文章は今や急速の勢を以て變じつゝある。文に志すものは、此の動いてゐる事實を觀過してはならぬ。就中其の叙説法に於いて、在來の體は、漸く過去のものにならんとしてゐる。新代の人に取つては、もはや此等の文章が有してゐた背景は消え失せてしまつた。意味だけは無論通ずる、又口には成程熟してゐるだけによく滑る。しかし其の意味が率ゐ來たるところの情趣、風情といふものが薄くなつた。背景が無くなるとは此の謂である...
更新日: 2020/01/13
97a421550e6aさんの感想

 言語はそれを使う者の経験、社会、文化的背景に強く依存し、社会や文化が変化すれば、言語もまた変化せざるを得ない。  美しい日本語などと曖昧な個人的主観をいくら振りかざしたところでなんにもならない。しかし、古い日本語に価値がないというのもまた幼い言いぐさだろう。  現代もこの文章の指摘を免れていない。新しい日本語はもとより必要だが、先人の知恵を借りるのもまた必要だろう。