半化け又平
はんばけまたへい
初出:「少女倶楽部」大日本雄辯會講談社、1936(昭和11)年11月分量:約28分
書き出し:一がちゃん!「おや、またやっちゃった」下女のお松が恨めしそうに、洗い桶《おけ》の中から縁の欠けた茶碗《ちゃわん》を取出した。「どうしてわたしはこう運が悪いのだろう、皿でも茶碗でもわたしが触りさえすれば欠けてしまう。今朝からもう五ツも壊しちゃった。とてもこれでは凌《しの》ぎがつかない」溜息《ためいき》をついていると、「お松さんまた出来たね」と水口からのぞいた者がある。色白の眉《まゆ》の濃い、口許《く...