=龍之介対潤一郎の小説論争=
=りゅうのすけたいじゅんいちろうのしょうせつろんそう=初出:「文学界 第五巻第七号」1951(昭和26)年7月1日佐藤春夫
芥川没後に佐藤が「話のない小説論争」を読み解く。佐藤の、芥川と谷崎に対する親しみが感じられる文章です。芥川の『文芸的な、余りに文芸的な』で挫折した人にもお勧め。 「そもそもあれは論争ではない、二人の楽しい文学談議だ」「新しい概念を提唱している芥川の言い分が分かりにくいのは当たり前」「谷崎は小説の保守派ど真ん中、筋の面白さが大事なのは当然」など佐藤センセイがポイントを示してくれるので、『文芸的な~』が読みやすくなります。芥川が言わんとする(した)ことを、噛み砕いて理解しようとする佐藤の姿勢が温かい。「アンタは難しくしゃべりすぎなんだ、要はこういうことでいいか?」と佐藤が芥川に語りかけるような絵が浮かびます。