雙之川喜1941 長く 耳慣れた 楽曲は おおくの 人々の 心を 慰謝する。だからと いって 望ましい 音曲と 断じるのは 早急に すぎる のでは ないかと 愚考する。目新しい 才能の 活躍の 余地をも あたたかく 保証する のが 世に 容れられない 鬼才などに 目配り した 文化国家かもしれない。そも 望ましいかとの 発想 それ 自体が 胡散臭く 感じられた。
至極真っ当で、その分凡庸ですらある音楽論ではあるが、筆者の音楽の歴史全般に関する広範かつ総括的な知識と理解をバックボーンに、この論文が書かれた1960年代後半当時に一時的隆盛を極めていた陰鬱不信の不協和音を奏でる「現代音楽」への忌避感、これに対し健全自然な旋律を奏で、精神的高揚、感興、悦び、調和、一体感をもたらす歴史的普遍的音楽への評価と賞賛を、的確かつ縦横無尽な文章力により論じ切り、かつ読者を説得せしめている達意の秀文である。