「望ましい音楽」の感想
望ましい音楽
のぞましいおんがく
初出:「心 18巻3号」1965(昭和40)年3月号

信時潔

分量:約5
書き出し:先頃テレビでセロの達人カザルスの対話をきいた。大きなパイプタバコをくゆらせながら翁は音楽を語り、また問われるままに政治についても自己の立場を説いた。彼は言う、自分は単純な人間で何事にも自然を尚《たっと》ぶと。彼はバッハを初めとする古典音楽を愛するとともに、故郷カタロニアの歌調を自ら鳥の詩と称して演奏曲目に忘れない、彼が現代の十二音音楽を斥けたり、故国の独裁政権に抵抗を続けるのも、それが人性の自然に...
更新日: 2025/05/20
65c8aadc88adさんの感想

雙之川喜1941  長く 耳慣れた 楽曲は おおくの 人々の 心を 慰謝する。だからと いって 望ましい 音曲と 断じるのは 早急に すぎる のでは ないかと 愚考する。目新しい 才能の 活躍の 余地をも あたたかく 保証する のが 世に 容れられない 鬼才などに 目配り した 文化国家かもしれない。そも 望ましいかとの 発想 それ 自体が 胡散臭く 感じられた。

更新日: 2019/08/03
ce72b9d7c7caさんの感想

至極真っ当で、その分凡庸ですらある音楽論ではあるが、筆者の音楽の歴史全般に関する広範かつ総括的な知識と理解をバックボーンに、この論文が書かれた1960年代後半当時に一時的隆盛を極めていた陰鬱不信の不協和音を奏でる「現代音楽」への忌避感、これに対し健全自然な旋律を奏で、精神的高揚、感興、悦び、調和、一体感をもたらす歴史的普遍的音楽への評価と賞賛を、的確かつ縦横無尽な文章力により論じ切り、かつ読者を説得せしめている達意の秀文である。