「函館八景」の感想
函館八景
はこだてはっけい

亀井勝一郎

分量:約13
書き出し:連絡船に乗つて函館へ近づくと、恵山につらなる丘の上に、白堊の塔のある赤い煉瓦造りの建物が霞んでみえる。トラピスト女子修道院である。やがて函館山をめぐつて湾へ入りかけると、松前の山々につらなる丘の上に、やはり赤煉瓦造の建物と牧場がみえる。これは当別のトラピスト男子修道院である。函館の町を中心にこの二つの修道院をつなぐ半径内が、幼少年時代の私の散歩区域であつた。思ひ出すまゝに、私は最も美しいと思はれた...
更新日: 2019/07/10
七夕さらささんの感想

戦後函館山の立ち入りが解禁された頃に書かれた、函館の景色を紹介する文章。主に著者が子供時代を過ごした函館の様子が書かれている。白い洋風の女学校に対する憧れや、トラピスチヌ周辺にあったという野生の鈴蘭畑の様子、著者が心奪われたという馬鈴薯の花など、当時の感覚や今では見られない光景について知ることができて面白かった。