「文房具漫談」の感想
文房具漫談
ぶんぼうぐまんだん
初出:「文藝春秋」1933(昭和8)年10月号

谷崎潤一郎

分量:約10
書き出し:*私は久しい以前から万年筆を使つたことがなく、日本紙と西洋紙と、二た通り原稿用紙を作つておいて、日本紙の時は毛筆、西洋紙の時は鉛筆を使ふやうにしてゐる。これは趣味と云ふこともあるのだが、私の場合は、寧ろ実際の上の必要が然らしめたのである。元来万年筆は墨を磨つたり含ませたりする手間がないだけ、毛筆よりはずつと速く書ける訳だが、不幸にして私には、此の万年筆の持つ長所が全く何の役にも立たない。なぜかと云...
更新日: 2021/10/24
ハルチロさんの感想

文豪の商売道具である「文房具」には、一家言ありと思っていましたが、谷崎先生の文房具に対する拘りは、先生が作品を産み出される過程に則されたものであることが、良く分かりました。愚生などは、大抵スタイルから入りたくなるのですが、自分に適した道具を使わないと、良いパフォーマンスが出来ないことを確認させて頂きました。

更新日: 2021/05/09
700b1c41ed8fさんの感想

読みやすく、論理の明晰な文章。これを読むと、真似で毛筆を使ったり字を大きく太くしたくなる。

更新日: 2020/08/28
19双之川喜41さんの感想

 世界的な 文学賞の 候補にもなった谷崎の 創作活動の最前線の秘密を 解き明かしている。同氏は 遅筆なので 読み返したり 歩き回ったり 茶を飲んだり 煙草を一服したりして 考えを めぐらしながら 文章を ひねり出す。おまけに 佐藤春夫のように 字を 桝目いっぱいに 大きく書く 癖があるので 和紙に 毛筆を用いて 執筆するという。原稿用紙を作成するために 版木を 鞄に忍ばせたりすることも あったらしい。文豪 筆を選ぶということかな。

更新日: 2020/05/10
978423b95b9cさんの感想

さすが。作家は文房具にこだわり尽くしている

更新日: 2020/05/01
いちにいさんの感想

万年筆の長所を活かせない作家 興味深い考察だ 遅筆で筆圧が大きい 毛筆が似合う作家だ ワープロやパーソナルコンピューターの登場に作家先生は果たして如何な感想を示すことか? キーボードを叩きつける姿が想像できる。あとはディスプレイをじっと凝視したまま固まっている姿が。