なるほど 金と本は違う 1000円貸して返ってこなくとも 、別に不自由はしない 1000円の本を貸して返ってこなかったら、まして、その本が絶版本であったら、全国の図書館を巡らなければならなくなるほど不自由だ。 (貸して欲しい本は普通、書店や図書館で見つけられない本なのだ。) 本は手元にあって本なのだ。 必要な時になくてはならない。 貸した翌日、必要になることもある。 (同じ本は普通2冊所有してない。) 本はコピーするものではなく、書き込むものだ、と思う。だから、私の本はカラフルだ。青緑赤などのボールペンやマーカーで賑やかだ。他人には読みづらい本になっている。その意味では他人には貸せない。他人でなくとも、自分の子どもも、たまに私の書斎を漁っているようだが、最後は断念しているらしい。やたら表紙の綺麗な「人間失格」がダイニングテーブルにおいてあった。中も綺麗だ。カラフルではなく、黒い活字が静かに並んでいる。 確か、私の本なら「恥の多い生涯」に赤のラインマーカーが引かれているはずだ。