天狗岩の殺人魔
てんぐいわのさつじんま
初出:「少年少女譚海」1938(昭和13)年春の増刊号分量:約24分
書き出し:いよいよこの村へも殺人鬼「伯父《おじ》さん大変だ、凄い記事《ニュース》ですぜ」扉《ドア》を蹴放すような勢《いきおい》でとび込んで来た祐吉《ゆうきち》は、新聞を片手に振廻《ふりまわ》しながら、「殺人鬼|権六《ごんろく》!当地へ潜入せり、銀行家宮橋多平氏脅迫さる、脅迫状には五千円を要求しあり、当地住民は恐怖動揺を来《きた》し、警察当局もまた非常警戒に任じたり」「うるさい、うるさい!」平野大造氏は手を振...