幽霊屋敷の殺人
ゆうれいやしきのさつじん
初出:「少年少女譚海」1930(昭和5)年9月分量:約24分
書き出し:謎の白堊館「どうだね龍介《りゅうすけ》!」晩餐のあとの珈琲《コーヒー》を啜《すす》っていた春田博士《はるたはかせ》は、龍介少年を見ながら、読んでいた新聞紙を投げだして話しかけた。「近ごろ例の謎の白堊《はくあ》館事件というのが、ばかに新聞で騒がれているが、あれは全体どんな事件だったのだね?」「ああ、あれですか?」龍介少年は食後の林檎《りんご》を噛みながら答えた。「あれは近頃にない面白い事件なんです、...