「生涯の垣根」の感想
生涯の垣根
しょうがいのかきね
初出:「新潮」1953(昭和28)年

室生犀星

分量:約31
書き出し:庭というものも、行きつくところに行きつけば、見たいものは整えられた土と垣根だけであった。こんな見方がここ十年ばかり彼《かれ》の頭を領していた。樹木をすくなく石もすくなく、そしてそこによく人間の手と足によって固められ、すこしの窪《くぼ》みのない、何物もまじらない青みのある土だけが、自然の胸のようにのびのびと横《よこた》わっている、それが見たいのだ、ほんの少しの傷にも土をあてがって埋《う》め、小砂利や...
更新日: 2025/09/11
艚埜臚羇1941さんの感想

  「君の きんたまは 白いね」などと いわれたら 二度と 口を ききたく なくなる ことが 多い かもしれない。この シロキンは 犀星の 親分格で 子分格も 兼ねている。犀星は 庭土を 撫で回し この 植木屋さんと 相談しながら 灌木を 植えたり 抜いたり 変幻自在に 庭遊びを 続ける。会話の 遣り取りも 面白く 生活に 疲れ 困惑して いる お方は 一読を 試みると 腹の 底から 笑いが わき起こり 憂さを 晴らすには 恰好の 読み物 かもしれないと 想った。植木屋さんの 屋号は シロキン屋 ではないので 念のため。