「眠りの精」の感想
眠りの精
ねむりのせい

アンデルセンハンス・クリスチャン

分量:約33
書き出し:世界じゅうで、眠りの精のオーレ・ルゲイエぐらい、お話をたくさん知っている人はありません!——オーレ・ルゲイエは、ほんとうに、いくらでもお話ができるのですからね。夜になって、子供たちがまだお行儀《ぎょうぎ》よくテーブルにむかっていたり、低い椅子《いす》に腰《こし》かけたりしているころ、オーレ・ルゲイエがやってきます。オーレ・ルゲイエは、静かに静かに階段を上ってきます。なぜって、靴下《くつした》しかは...
更新日: 2019/12/04
六花亭四号さんの感想

オーレ・ルゲイエが何者なのか、興味深い。 彼は眠りの精であり、てっきり良い子には良い夢を、悪い子には悪夢を見せる教訓物かと思いきや、彼は悪い子には夢を見させずぐっすり眠らせる。害のない存在である。 彼の言うことを信じるとキリスト教徒でない異教や民間信仰の精霊なのかもしれない。ヨーロッパだけでなく何故か中国にも彼は足を伸ばしているから、イスラム教やゾロアスター教など広く布教された宗教の登場人物か? オーレ・ルゲイエは害がないと言ったが弟の方は違う。弟は成績表とやらで大人を評価し、成績がいい人には褒美を、悪い人には罰を与えている。子供には優しいオーレ・ルゲイエが大人にはきちんと罰を与えているということは、成長するということは許容される範囲が狭まるということを暗示しているのだろうか。だとしたらこれはやはり教訓物であり、オーレ・ルゲイエが ヤルマールに怖い話を聞かせられないよういい子になるんだよと教えたことになる。 オーレ・ルゲイエの弟の方は死神と人から呼ばれているが、命を奪う描写はない。弟が怖い話を人間に聞かせることが三途の川を渡りかけたと解釈されたのかもしれない。