芥川と荻原朔太郎は わずか数年の 付き合いであった。芥川は 自分と 反対の性格を 荻原に 見出し 菊池寛については 「英雄」 と呼んでいた。 例えば 神経質な ボー ドレエルが 豪放磊落な ユーゴーを 崇敬していた ように 。また 室生犀星については 「あんな男は見たことはない 」と言っていた。自死の 予兆かもしれない 出来事について 朔太郎は 突然 芥川が 鎌倉自邸に 夜 11時 訪れて 不意の車 薄暗い電気 細い指 死後の話 乱れた長髪 青ざめた病身の顔 影のように消えた後ろ姿を 残して立ち去った思い出を しるす。 文人たちを より深く理解するのに役立つ 貴重な 挿話と思った。