芥川と萩原、この二大天才の交友関係は興味深い。
東京の田端は 文士村と いわれたこともあり 文士等が 固まって 住んでいたとされていた。ある朝 芥川竜之介が 寝間着のままで 萩原朔太郎の自宅に 飛び込んで来て 興奮気味に 朔太郎の(郷土望景詩)なるものを 寝床の中で読みあげ そのまま 感激の余韻を 作者本人に 急遽 伝えに来たことが あったという。朔太郎に 言わせると 竜之介には 詩情を指向する傾向は あるけれど 生命の霊魂に 欠けると云う。朔太郎の目指す詩情と 竜之介のいうところのものとは 距たりが あるにしても 両者の通奏低音には 共通性があると想った。