「赤い駱駝」の感想
赤い駱駝
あかいらくだ
初出:「世界」1948(昭和23)年10月号

梅崎春生

分量:約30
書き出し:まだ部隊にいた時分、潜水艦勤務を五年もやったという古参の特務中尉がいて、それがおれたちにときどき話を聞かせてくれたが、そのなかでこんな話が今でも深く頭にのこっている。それは長時間海の底にもぐっていて、いよいよ浮上しようとする時の話なんだ。なにしろ潜水艦というふねは、水にもぐっている関係上、空気の補給がぜんぜん絶たれているだろう。空気はよごれ放題によごれ、吸ってもはいてもねとねとと息苦しいだけで、み...
更新日: 2020/08/25
19双之川喜41さんの感想

 いきなり降ってきた 自由のようでもある敗戦に 今迄は 正気であったとされる兵達は 軍事物資の掠奪に 狂奔するけど それ迄は 狂気とされていた 繊細な兵士は 自ら 短刀で喉をつき 自害する。その痛々しい兵の 脳裏には 赤い駱駝のような 壮烈な夕焼けが 遺されていた。静かな 反戦の意志が 伝わり 読み進むにつれて 不覚にも 落涙した。