「悪霊物語」自作解説
「あくりょうものがたり」じさくかいせつ
初出:「講談倶楽部」講談社、1954(昭和29)年9月増刊分量:約2分
書き出し:私のつけ句連作とは連歌《れんが》俳諧《はいかい》の如《ごと》きものであろう。第一の発句《ほっく》は余り限定的でない方がよろしい。脇《わき》はこれをいかようにも受けとるであろう。第三はまたそれを別の方向に転化するであろう。そして、最後の揚句《あげく》と最初の発句とは似もつかぬ姿となることもあり得る。私はこの連作の第一回を、ホフマンの「砂男」や、ワイルドの「ドリアン・グレイ」を連想しながら書いた。これ...