「魯迅の「故郷」や「孤独者」を訳したころ」の感想
魯迅の「故郷」や「孤独者」を訳したころ
ろじんの「こきょう」や「こどくしゃ」をやくしたころ
初出:「魯迅案内」岩波書店、1956(昭和31)年10月22日

佐藤春夫

分量:約7
書き出し:わたくしの「故郷」を訳したのは今から二十何年前の事であつたらうか。その間に戦時中書庫の荒された事などもあつて、当時を思ひ出す料となるものも欠けてしまつて、思ひ出の手がかりも無く、一切が雲煙模糊としてお話にもならない。その以前に阿Qを訳した人があつて、わたくしはそれによつてかねて名前を知つてゐた魯迅の作品を読んでこれに推服したやうに思ふが、阿Qの真価をほんたうには理解してゐなかつたやうにも思ふ。ただ...
更新日: 2022/02/23
19双之川喜41さんの感想

 「故郷」は 中国古来の 詩情が 完全に 近代文学に なっているという。同感である。また 童話のような 世界と 苦い 現実の世界の 潮境に 面白さが ひそむともいう。電子辞書の 読み上げ作品に 収録されたりして 愛読者は 結構 いるようには 感じるのである。

更新日: 2021/10/21
decc031a3fabさんの感想

昭和31年だと、こちらも戦後の混乱からようやく一段落した頃だ。まだ文化大革命は先のことだが、東側陣営と西側とでは交流が細々になっていた。だからこそ過去の魯迅作品の翻訳を通じて得た手応えから、近代化に昇華しかけていた中国文学がどうなっているか、その後を知りたいけど、もう日本には最新情報が入って来づらくなっていたんだろうな。