モンテーニュ随想録
モンテーニュずいそうろく
04 読者に
04 どくしゃに分量:約5分
書き出し:この序文は一五八〇年始めてエッセーが公刊されるに際して書かれたものであるから、全然自己描出の現われない初期のエッセーにもあてはまらないし、一五八八年以後の、自己を描きながら広く人間性を描くのだといった晩年のエッセーにもあてはまらない。けれどもこの短い文章の中にモンテーニュはかなりよく自著の内容を言いえている。すなわち彼が野心にとらわれないこと、自分を過信しないこと、自分の情欲の奴隷になるまいと常に...