廃灯台の怪鳥
はいとうだいのかいちょう
初出:「少年少女譚海」博文館、1938(昭和13)年7月分量:約24分
書き出し:見よその頸には怪鳥の爪痕が!「きゃーッ」遠くの方から、幾つかの反響を呼び起しつつ、微《かす》かに長く人の叫び声が聞えて来た。寝台《ベッド》に横《よこた》わったまま、枕卓子《サイド・テーブル》の上の洋灯《ランプ》の光で雑誌を読んでいた桂子は恟《ぎょっ》としながら頭を擡《もた》げた。——岸を噛む怒濤が悪魔の咆《ほえ》叫《さけ》ぶように、深夜の空に凄《すさま》じく轟いているほかは、ひっそりと寝鎮《ねしず...