「フェリシテ」の感想
フェリシテ
フェリシテ
初出:「夜鳥」春陽堂、1928(昭和3)年6月23日

ルヴェルモーリス

分量:約12
書き出し:彼女はフェリシテという名前だった。貧しい女で、美人でもなく、若さももう失われていた。夕方、方々の工場《こうば》の退《ひ》け時になると、彼女は街へ出て、堅気《かたぎ》女らしい風でそぞろ歩きをした。ときどき微かに歩調をゆるめたかと思うと、また元のように歩いて行った。他《よそ》の子供等が裾にからまって来ると、彼女は優しい身振りでそれを避《よ》けたり、抱きとめたりした。そしてその母親たちには莞爾《にこ》や...
更新日: 2022/04/21
19双之川喜41さんの感想

 若くもなく 美しくもない 娼婦が 数年間 土曜日毎に 風采が上がらない 中年男を 客にとる。突然 結婚するので もう 来れなくなったと 告げられた。誰でも 見当のつけやすい 結末では あるけど フェリシテとは 「至福」を 意味するという。詩味あふれる 上質な 心に残る 作品だと 想った。