「悪魔の足跡」
「あくまのあしあと」
初出:「西日本新聞」1955(昭和30)年8月分量:約3分
書き出し:「悪魔の足跡」中谷宇吉郎ゼサップ氏の本に引用されている「悪魔の足跡」というのは、非常に不思議な現象である。英国の南西部に、デヴォン州という州がある。一八五五年二月七日の夜、その州に大雪が降った。翌朝人々はいつものとおり働きに出かけたのであるが、新しく積もった雪の表面に、不思議な足跡を発見した。それは馬蹄型の跡で、長さ四インチ、幅三インチくらいあった。不思議なことには、この足跡は、一直線にならんでい...