日本の将来
にほんのしょうらい
初出:「民族の自立」一時間文庫、新潮社、1953(昭和28)年12月20日分量:約16分
書き出し:しばらく日本をはなれていると、いろいろなことを考えるが、結局のところやはり一番気になるのは、日本の将来という問題である。何も憂国の感情云々というような、大袈裟な話ではないが、誰でも外国にいると、少しは身仕舞などに心を配るようになる。何か不体裁なことがあったときに、日本ならば、「誰々がどういうことをした」という話ですむが、外国にいると、「日本人がこういうことをした」ということになる。それで知らず知ら...