物心一如の科学
ぶっしんいちにょのかがく
初出:「禪文化 第七号」花園大学禪文化研究会、1957(昭和32)年3月15日分量:約25分
書き出し:この頃の一番大きい話題は、原子力である。原子爆弾の出現以来、世界中の人間が、原子力の恐怖病にかかった傾向があった。ところが一方最近になって、原子力の平和利用が賑やかに唱えられて来て、原子力時代というような言葉が、盛んに使われるようになった。確かに、人類は、今新しい勢力《エネルギー》の世界にはいりつつある。今日の文明は、一昔前、たとえば徳川時代などに較べると、まるで様相がちがっている。その一番大きい...