「〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺)」の感想
〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺)
〈わがあいするしじんのでんき〉(ほい)
初出:「婦人公論 第四十三巻第五号」1958(昭和33)年5月号

室生犀星

分量:約28
書き出し:佐藤惣之助詩人佐藤惣之助は明治二十三年十二月三日、川崎市砂子の宿場脇本陣の旧家に生れ、私より一つ歳下であった。砂子の彼の家のうしろは早くから工業地帯に変っていたが、野趣ある草原には小さな鮠《はや》や川|鰕《えび》をうかばせる小川があり、海は近く蘆荻の沼沢地方が続いて、佐藤はそこらで植物昆虫魚介にしたしみ、彼のいう泥のついた娘達とも遊んだ。四歳にして釣を嗜み、十二歳で発句を学んだという自伝も嘘ではな...
更新日: 2022/12/05
19双之川喜41さんの感想

 川端康成が 佐藤惣之助の 散文を 褒めていたとある。叙情-叙事には 優れていたけど 人間が 描ききれていないという。佐藤は 艷歌-軍歌の 方面では 当時 超流行作家であったけど 才に 溺れて 散文志向は なかなか 思いどおりには いかなかった らしい。韻文から 散文に 飛び移るのは 藤村のように いつも 首尾良く こなせる わけではないと 感じた。