小学生の頃『怪談レストラン』シリーズで読んだことがある 元ネタだったのか 怪談レストラン版では献上された笛が姫によって吹かれ、王によって吹かれ… 最後は兄自身が吹き、笛が告発の歌を歌うスリリングな展開だった
お兄さんは優れた人のようですが、死んだあとの行動から執念深い気もするんですが…
これもカインとアベルってか?
グリム兄弟が為した業績には、ゲルマン民族への誇りと愛情に裏打ちされており、その最たるものが「ドイツ文法」研究と、土俗的な香りが濃厚な言い伝えの収集採録であろう。 この収集採録という面からいえば、日本おいては、さしずめ「遠野物語」の仕事が相応するだろうか。 ここに掲げられた殺伐極まりない壮絶な童話「歌をうたう骨」も収集された物語のひとつだが、ひたすら受け身の話(怪異と化身遭遇談)が多い「遠野物語」に比べると、「歌をうたう骨」のストーリーの核になっている野心と強欲な攻撃性には、格段の民族差を感じさせ、極東の島国に棲む孤独なアジア人としては、ただただ愕然とせざるを得ない。 領土的野心のためには、他国へ侵略し、無垢な人々を無差別に殺戮し、そんなこと当然だろうと正当化して平然と嘯く強欲と狂気の思想と愚劣な蛮行は、現代ロシアや中国の狂気の独裁者にまで脈々と続いているということか。 一説には、グリム兄弟が残したゲルマン愛とゲルマン文化確立へ寄与した功績は、着々ナチス政権登場の準備と無関係ではなかったと言われているくらいだから。 さて、この物語、獰猛なイノシシによって国中に被害が出て困った王様が、イノシシを退治した者には、莫大な褒美(美しいお姫様も含まれる)を与えるという御触れに名乗り出た兄弟だが、怠け者の兄が酒を飲んでいるうちに、正直な弟は一人でイノシシを仕止めてくる。 褒美を独り占めにしたい強欲な兄は、橋のたもとで弟を殴り殺して埋め、王様に名乗り出る。 まんまと褒美を独り占めし、綺麗なお姫様を抱き寄せてヘラヘラしているうちはよかったものの、たまたま漂泊の笛吹に弟の骨を拾われ、削って笛の吸い口にすると、不思議や不思議、笛を吹くと、音は弟の言葉となって兄の悪事を訴える、というシギと相なり、悪事が露見した兄は、袋に縫い込まれ川に沈められて、あっさり死刑。まるで、宇都宮吊天井みたいなお話。 このご褒美を「保険金」とか「若い愛人の関心を引くため」とでも言い換えれば、現代人にも兄による弟殺害の動機を理解しやすくするかもしれない。 ただ、最後に、作者とこの兄弟とのあいだの距離感は、終始、必要な冷徹さで保たれていることを付言しておかなければならない。 冒頭で、この兄弟を、こう紹介している。 「ずる賢い兄と、おめでたい弟」
猪が わるさを してまわるので 有害動物の 駆除のため 王は 自分の 娘を 褒美として 与えることを 約束する。ある兄弟が 猪退治に 臨み 小人の 助けもあり 弟が 首尾よく 害獣を 仕留める。それを 妬んだ 兄は 弟を 殺め 手柄を 横取りしてしまう。後日 埋められた 弟の骨で 作られた笛が 歌で 真相を 告げる事になる。悪事千里を走る。親族殺人。後味が悪いと 感じた。
素直ないい子の弟と欲深い兄とのお話。