著者は 寝台に 仰向けに ころがって 執筆中の 一節の 展開に 思いを致す。遺体を 隠す 算段を あれこれと かりに マンホールに 投げ込んだ ことにしようか または 群衆の デモの なかに 紛れ 込まそうかと アイディアを 繰り 広げ 創作 過程の 苦渋の 有様を 記す。ようやく 想いが 定まったので 寝台の 隣り 合わせの 妻を 揺り 起こそうと すると 実は という 巧妙な構想 である。山川は 紛れもなく 名手と 感じた。彼の 作品が 義務教育の教科書に 数多く 採録されているのも むべなるかなと ひとり 納得した。