惹き込まれました。世の中の欺瞞やきれいごとにはもううんざりです。でも金子の文章の中には真実があります。もっと彼女のことを知りたいと感じました。
胸が押し潰されるような虐待、暴力差別の子ども時代の記述は、被差別部落と天皇制を考察する時外せない「籍」の文化について深く考えさせられた。アウグスティヌスの「告白」がある意味「神学するとは何か」を指し示すように、金子文子はこの獄中手記で逆説的に「滅びざる魂」、「虐げられし命こそ復活の命」を指し示していると思う。冗長なところもあったが最後まで読んでよかった。
まず何よりも面白く、リズムよく、文章がとても読ませる。なかなかの長文だけど先が気になって止まらない。事実は小説よりも…とやつを久しぶりに感じた。 ただ書いた状況が状況なだけに、自由に書けなかったのだろう。できれば何も縛ることなく検閲もなく、自由に書いたものを読みたかった。でもそれを差し置いてもとても興味深い作品だと思う。 (伏せ字部はネットで調べてもわからなかったのでどの版にも記載がないのかな?検閲で削除?気になりました)