常識家の非常識
じょうしきかのひじょうしき
初出:「不同調 第六卷第三號」1928(昭和3)年3月号分量:約7分
書き出し:僕等の如き所謂詩人が、一般に缺乏してゐるものは「常識」である。この常識の缺乏から、僕等は常に小説家等に輕蔑される。それで僕等自身もまた、その缺點を自覺してゐることから、常に常識的なものに畏敬し、常識學の修養につとめて居る。この意味から、僕は常に「文藝春秋」を愛讀してゐる。文藝春秋といふ雜誌は、文壇稀れに見る「頭腦《あたま》の好い雜誌」であつて、編輯がキビキビとして居り、詰將棋の名手を見るやうな痛快...