ラムネ・他四編
ラムネ・ほかよんへん
初出:「令女界 第七卷第八號」1928(昭和3)年8月号分量:約3分
書き出し:ラムネラムネといふもの、不思議になつかしく愉快なものだ。夏の氷屋などでは、板に丸い穴をあけて、そこに幾つとなく、ラムネを逆さにして立てて居る。それがいかにも、瓦斯《ガス》のすさまじい爆音を感じさせる。僕の或る友人は、ラムネを食つて腹が張つたと言つた。あれはたしかに瓦斯《ガス》で腹を充滿させる。だがこの頃、ラムネといふものを久しく飮まない。僕の子供の時には、まだシヤンパンサイダといふものがなく、主と...