「西南北東」の感想
西南北東
せいなんほくとう
初出:「詩風土 第十九輯 十二月號」臼井書房、1947(昭和22)年12月1日

原民喜

分量:約13
書き出し:時計のない朝私は焼跡から埋めておいた小さな火鉢を掘出したが、八幡村までは持って帰れないので姉の家にあずけておいた。冬を予告するような木枯が二三日つづいた揚句、とうとう八幡村にも冬がやって来た。洗濯ものを川に持って行って洗うと指が捩げそうに冷たい。火鉢のない二階でひとり蹲っているうち、私の掌には少年のように霜焼が出来てしまった。年が明けて正月を迎えたが、正月からして飢えた気持は救えなかった。だが、戦...
更新日: 2022/03/16
阿波のケンさん36さんの感想

戦後直ぐの光景が描かれている。亡き母の苦労話を思い出す。今ウクライナから脱出している人々の姿とも重なる。