「売薬ファン」の感想
売薬ファン
ばいやくファン
初出:「文藝春秋 昭和三十年二月號」文藝春秋新社、1955(昭和30)年2月1日

古川緑波

分量:約4
書き出し:先に言つて置く。僕は、賣藥ファンといふ奴、それも、ミーちやんハーちやん的のファンで、理窟も何もない、たゞ、いろんな藥を服みたくつてしようがない性分である。たとへば、錠劑の、眞つ赤な色が氣に入つたとか、グリーンが美しいから、好きだとか言つて、愛用するといふくちだ。隨分、幼稚で、お話にならない。今でも、毎日五六種類から、十種類ぐらゐの賣藥を服む。何時頃から、かういふ癖がついたのか。幼少の頃は、實父が醫...
更新日: 2025/05/17
8eb05d040692さんの感想

収集家はとにかく集めて並べたいもの、その気持ちなんとなく分かる。 けれど服してみるのは怖い気がするけど、当時の人は副作用というものについてあまり考えられていなかったかも。

更新日: 2022/08/18
19双之川喜41さんの感想

 ロッパは 色が 綺麗だから 使う あてなど ないのに 薬を 大量に 買い込んで 本棚の 一角に 並べて 愉しむ。それが 痔疾の 薬であっても 自分自身は 痔でも なんでもないのに 買い込んで 並べて 悦に入るというから 性癖というものは きいてみなければ わからないものだと つくづく 感じたのである。日記も 長い間 克明に 欠かすことなく 書きとめつづけ それらに 資料的な 価値ありとする 向きも 結構 いるときく。当時 高名な 喜劇役者として 名を馳せており 運転手付きの 高級外車を 乗りまわして 一世を 風靡した。挙げ句の果てに 美食の 探求に 没頭しすぎ 糖尿病患者として 早逝した。ロッパは 薬の 商品名は 明記しなかったと 見得を切るけど 苦笑してしまった。