ウクライナの 精神病院に 収監された 青年は 窓から 見える 罌粟(ケシ)の 紅い花に ただならぬ 執着を 見せる。 その花が 彼に取っては 何かしら 特別な 意味を 備えた 象徴のようにも 見えてしまうのである。頑丈な 狭窄衣(きょうさくい)を 超人的な 集中力で 破り棄てて 夜中に 蕾(つぼみ)を 閉じた 花を 固く 握りしめながら 病室に 戻って来て 寝台に 倒れ込む。深刻な 内容には 細やかな ユーモアが 仕込んであり 少しばかり 慰めにはなる。私は 半世紀位 昔に この本を 読んだ筈が 戦死と 勘違い していたことが 知れた。本当は 病死だったのである。彼の 硬直した手からは 花を なかなか 外せなかった。
主人公の視点からすれば、正義に溢れた勇者のようにも感じる。 客観的に見れば、病気で頭のおかしくなった患者が自分の世界を演じ、迷惑をかけた挙句亡くなるという迷惑者のように感じる。 そんな対極するふたつの視点から、精神病とは本当に病気なのか、それとも悟りの境地なのか考えされられました。
よく分からないな。なぜ赤い花がこの世の悪なんだろうか?ケシの花だからろうか?