「音楽時計」の感想
音楽時計
おんがくどけい
初出:「少女の友 第十四卷第一號」實業之日本社、1921(大正10)年1月1日

室生犀星

分量:約12
書き出し:階下では晩にさえなると、音楽時計が鳴りはじめた。ばらばらな音いろではあるが、静かにきいていると不思議に全《すべ》てがつながれ合った一つの唱歌をつづり合してきこえた。昨日も今夜も、毎日それがつづくのである。ネジがなくなるにしたがって、音色が次第に物憂くだるい調子になって、しまいには、まるで消えてしまうように何時《いつ》の間にか止《や》むのである。あとはしんとした小路の奥の、暗い椎《しい》の垣根をめぐ...
更新日: 2021/08/25
1c8793e51c4eさんの感想

雨の日に声が聞こえやすくなる場面、陰鬱さがうまく表現されていると思う。

更新日: 2021/08/05
19双之川喜41さんの感想

 今は 見かけることが少ないけど 前には ほとんどの時計に ゼンマイを まわす為の穴が 二つあり 一つは時を刻むため 他の一つは音を出すための ネジ穴だった。なので ゼンマイが 弛むと 色々 支障が出てきたのである。小さな女の子で 寝たきりの病人は 緩むと 消え入りそうになる 時計の音楽が あたかも 自分の生命の先行きを暗示しているように思ったかもしれず 度々ネジを巻くことを 望んだ。辛く痛々しい情景の 描写が続き 胸に突き刺さるもののある 作品と想った。