本作品は、荷風先生の没年の9年前のエッセイです。荷風先生が二十歳の青年期、浅草は、東京で最も大きい繁華街でした。衣食住関連の店や文化芸術関連の施設がひしめいていたことと思います。しかし、人間の記憶ーー特に晩年の記憶ーーというものは、“食”の記憶が、強く残っているものなのでしょう。作品の中で、多くの料理屋が紹介されています。今も残るお店もあります。機会があれば、是非訪れてみたいです。
昭和25年当時の浅草の街の店の移り変わりを記したもの。震災、戦災、時代の流れが大きな変化のをもたらしていることがわかる。